ここ近年、一般住宅を狙った空き巣や強盗などの「侵入犯罪」は、大胆かつ凶悪な手口が目立ちます。周囲に気づかれないようこっそりと侵入するだけでなく、在宅の有無にかかわらず数人で窓やドアを破壊して押し入る、宅配業者や点検業者を装って住宅に押し入り、現金や貴金属を奪い取るなど、その手口はますます巧妙化・凶悪化しています。
そこで今回は、空き巣や強盗から大切な命と財産を守るために、住まいの防犯対策の基礎知識と、おすすめの防犯用品を紹介します。
目次
警察庁の統計(※1)によると、空き巣などの「住宅を対象とした侵入窃盗」は、平成16年(2004年)以降、年々減少してきましたが、令和5年(2023年)は前年比20.9%(1万7469件)と大幅に増加。1日にすると約50件の侵入窃盗が発生しており、いまだ多くの住宅が被害に遭っていることがわかります。
また、凶器などで住人を脅して金品を強奪する「住宅を対象とした侵入強盗」に関しても、平成17年(2005年)以降、減少傾向が続いていたものの、令和5年(2023年)には前年比17.8%(152件)と増加に転じています。とくに近年は、手口の巧妙化・凶悪化が進んでいることから、家庭における防犯対策を、これまで以上に強化することが求められています。
(※1)参考資料/警視庁「住まいる防犯110番」
住まいる防犯110番 (npa.go.jp)
侵入犯罪に対して効果的な対策を講じるためには、まずどのような犯罪の手口があるかを知っておく必要があります。では、警視庁の統計データ(※2)から、「侵入窃盗の侵入口」と「具体的な侵入手口」の傾向を見ていきましょう。
無施錠の窓や玄関からの侵入がトップ
まず、「侵入窃盗の侵入口」のデータを見ると、一戸建て住宅やマンションなどの共同住宅では、いずれの形態の住宅でも「窓」と「表出入り口(玄関など)」からの侵入が7割以上を占めていることがわかります(以下参照)。
また、「侵入窃盗の侵入手口」を住宅形状別に見ると、上位3つが「無締まり」「ガラス破り」「合かぎ」となっています(以下参照)。
(※2)参考資料・グラフ出典/警視庁「住まいる防犯110番」
住まいる防犯110番 (npa.go.jp)
空き巣や強盗の具体的な侵入手口
【無締まり】
どんなに強固な防犯対策を講じても、鍵を掛けなくてはまったく意味がありません。ゴミ出しや庭の手入れ、洗濯物を干す際など、たとえ少しの間であっても、日ごろから必ず施錠することを心がけましょう。
【合い鍵】
屋外の隠れた場所(玄関の周囲や郵便受け、植木鉢の下など)に合い鍵を隠したつもりでいても、侵入者は目ざとく見つけ出してしまいます。合い鍵は家の外に絶対置かないようにしましょう。
【ガラス破り】
ベランダのサッシや窓などのガラスを破壊し、そこから手を入れて解錠・侵入する手口。通常のガラスであれば、たった数秒で破壊されてしまいます。近所への買い物やペットの散歩など、わずかな留守の間でも被害に遭う可能性があります。
【ドア錠こじ破り】
ドアと壁の隙間にバールなどの工具を押し込み、てこの原理でドア錠を壊して侵入する手口。かなり強引な方法ですが、通常のドアや錠では数分で侵入されてしまいます。
【ピッキング】
ピックと呼ばれる金属の特殊工具を鍵穴に入れ、ドア錠を短時間で開ける手口。ピッキング防止に対応した錠でなければ、1分もかからず開錠されてしまいます。
【サムターン回し】
ドアにドリルを使って穴を開けるなどして、サムターン(ドアの錠を室内側から施錠・解錠する回転式のつまみ)を外から操作して侵入する手口です。また、ドアとドア枠の隙間から工具を差し込んで、サムターンを操作する手口もあります。
こうした侵入窃盗の荒々しい手口に対応するためには、玄関ドアや窓に防犯建物部品(※3)を設置して、侵入口を物理的に強化する方法が効果的です。
まずは、玄関からの侵入を防ぐおすすめの防犯用品を紹介します。
【補助錠】
住宅に侵入する際、5分以内に侵入できなければ、約7割の侵入者は諦めるといわれています。1つのドアに錠が2つ以上付いていると(ワンドア・ツーロック)、開錠・侵入に時間がかかるため、侵入者は嫌って避ける傾向があります。
【ガードプレート】
ドアとドア枠の間に隙間があると、バールなどの工具を差し込んでドア錠を破壊される可能性があります。ドアとドア枠の隙間をふさぐガードプレートを取り付けることで、ドアのこじ開けやサムターン回しなどの手口を防ぎやすくなります。
【ピッキング防止のドア錠】
玄関のドア錠をピッキング防止に対応した錠や、鍵穴のない電子錠・電気錠に替えることで、ピッキングによる侵入を防ぎやすくなります。
(※3)防犯建物部品(CP部品)とは、試験によって「侵入までに5分以上かかる」と確認された防犯性の高い製品(ドア、錠、窓フィルム、雨戸、面格子、窓シャッター、サッシ、ガラスなど)のことです。認定された製品には「CPマーク」が貼られていますので、防犯用品を検討・購入する際の目印となるでしょう。
次に、ベランダのサッシや窓からの侵入を防ぐ、おすすめの防犯用品を紹介します。
【防犯フィルム】
ガラスの強度を上げる防犯フィルムを窓全体に貼ることで、ガラス破りによる侵入を防ぎやすくなります。また、地震などの災害でガラスが割れた場合にも、周囲に破片が飛散するのを防ぐことができます。
【補助錠】
玄関ドアと同様、窓やサッシにも補助錠を取り付けることで、ワンロックよりも防犯効果が高くなります。防犯フィルムとあわせて設置すれば、より効果的です。
【面格子や窓シャッター】
窓やサッシに面格子や窓シャッター(雨戸)を設置することで、ガラス破りによる侵入を防ぎやすくなります。ただし、窓やサッシのタイプ・場所によっては、取り付けられない場合もあります。
さらに、家の周囲や庭先などにも防犯対策を講じて、家の外から「この家は入りにくい」と侵入者に思わせることも、防犯につながる有効な方法です。
【防犯カメラやセンサーライトを設置する】
家庭用の防犯カメラやセンサーライトを外部から見える位置に設置することで、侵入者への威嚇やいたずら防止につなげることができます。とくに、建物や通路などの死角になる場所に設置すると、より効果的です。
ただし、防犯カメラは見せかけのダミーではなく、実際に録画機能があるものを選びましょう。撮影した映像が録画されていれば、トラブルが起きた際の証拠となり、事件の解決につながることもあります。
【カメラ付きのインターフォンにする】
門扉や玄関のインターフォンもカメラ付きのものにすることで、見知らぬ人が訪ねてきても室内から確認・対応することができます。
【家の周りの見通しを良くする】
背の高い庭木やブロック塀などがあると、家の周囲からの見通しが悪くなり、死角が生じやすくなります。その結果、侵入者が隠れやすくなり、侵入されても周囲に気づかれにくくなってしまいます。ブロック塀を周囲から見えやすいフェンスする、庭木をこまめに剪定するなど、家の周りの見通しを良くすることも有効な対策です。
【庭先や通路に防犯砂利を敷く】
敷地内の通路や庭先に防犯砂利を敷くのも効果的です。防犯砂利は踏むと大きな音が出るため、物音を立てたくない侵入者は嫌います。
【屋外に足場になりやすい物を置かない】
脚立やバケツ、大型の収納ボックスやストッカーなどは、高い位置の窓や2階への侵入の足場にされてしまう可能性があります。家の周囲や庭には、足場になりやすい物を置かないようにしましょう。
今回ご紹介した対策の中には、ご家庭で今すぐできるものもありますが、錠やカメラ、建具などの防犯用品は、工務店やホームセンター、便利屋などのプロに設置してもらいましょう。自分で設置できると思っても、正しく取り付けないと性能が十分に発揮できなかったり、既存の建具を傷つけてしまったりする恐れもあります。住まいの防犯対策に関して、わからないことや不安があれば、専門の業者に相談・依頼することをおすすめします。
ただし、防犯用品を設置したからといって油断するのは禁物です。日ごろから玄関や窓の戸締まりを徹底することはもちろん、家の周りで不審者を見かけたり、何かおかしいと異変を感じたりした場合は、すぐに周囲の人や110番に連絡するようにしましょう。
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