利用者の居宅に訪問して、家事などの日常的な生活支援サービスを提供する「訪問型サービス」。今回は、訪問型サービスのニーズが高まる社会的背景とともに、求められるサービスや地域事業としての将来性について考察します。
目次
訪問型サービスとは、その名の通り、外部のスタッフに自宅に訪問してもらい、日常生活におけるさまざまなサポートを受けられる生活支援サービスのことです。
主な訪問型サービスとしては、まず国の介護保険制度による生活援助(訪問介護サービス)が挙げられます。しかし、2000年に始まった介護保険制度は、介護保険の財源不足により、制度改定のたびに生活援助の提供範囲や時間が削減されてきました。
こうした状況の中で、2016年には厚生労働省・経済産業省・農林水産省の3省連名で「公的保険外サービスの事例集(※)」が発行されるなど、国も有償の介護保険外サービスの利用を推奨。在宅生活を支援する生活援助は、実質的に利用者の自己負担になりつつあります。
その保険外サービスの受け皿となっているのが、地域の民間事業者が有償で提供する訪問型の生活支援サービスです。民間の訪問型サービスでは、介護保険で適用されていない場所の清掃・手入れ・修理や家事全般、日常生活で突発的に生じる「困りごと」などにも対応。要介護の高齢者はもちろん、介護を必要としない高齢者・現役世帯の地域住民も利用できる生活支援サービスとして、そのニーズや市場も年々拡大しています。
※公的保険外サービスの事例集
guidebook-zentai.pdf
日ごろのちょっとした手助けを得られず、ときに生活支援等が必要と思われる高齢者世帯は、1990年~2015年の25年間で3.6倍(44万世帯から160万世帯)に増加。さらに25年後の2040年には、230万世帯にまで膨らむと予測されています。
また、高齢者世帯だけでなく現役世帯でも、核家族化や共働き・単身世帯の増加によって、これまで自分や家族で行えていた家事などの家庭内労働を、有償で外部に依頼するケースが増加しています。
このように、少子高齢化や核家族化、共働き・単身化といった社会構造の変化を受け、家庭内における労働力不足が深刻化。その要因となる問題としては、主に以下の4点が挙げられます。
●体力的な問題(高齢化)
加齢による身体的な不調や体力の衰えなどで、若いときは自分でできていた家事や作業などができなくなった。
●人手不足の問題(核家族化・単身化・高齢化)
子ども世帯や知り合いが近くにいない、単身で家族がいないなど、ちょっとした家事や作業、困りごとなどを頼める人が身近にいない。
●時間的な問題(共働き家庭、母子・父子家庭の増加)
夫婦で働きに出ている、または妻や夫がいないため、日常的な家事や作業をする時間的な余裕がない。
●精神的な問題(総合的な背景)
育児や介護など身内に関する悩みなどで、自分自身の日常生活がおろそかになっている。
さまざまなサービスのワンストップ化
先述したように、訪問型サービスを利用する人の多くは、自分に代わってやってくれる人手や労働力を求めています。そのため、「換気扇の掃除」「風呂掃除」といった単独のサービスだけでなく、「高所の電球付け替え」や「庭木の手入れ・草取り」など、ほかにも頼みたいことが多く派生してくるのです。
そこで求められるのが、多種多様なサービスのワンストップ化です。とくに、日常生活でさまざまな困りごとを抱えている高齢者・単身世帯では、ワンストップで何でも気軽に頼める業者に相談した方が、いろいろな所に頼むより手間や時間が省けて便利だからです。
技術的・専門的なニーズへの対応力
訪問型サービスでは、家庭内のちょっとした家事や作業の代行だけでなく、「ハウスクリーニング」「水回りの修理」「エアコンクリーニング」といった専門技術を要する依頼もあります。よって、サービスを提供する事業者は、労働力としてのニーズだけでなく、家庭内の専門的・技術的なニーズにも対応するノウハウが求められます。
家の中のことを安心して任せられる信頼感
訪問型サービスでは、家の中のことを外部の人に任せるため、「どんな人が来るのか不安」と感じる利用者も多くいます。利用者の安心・信頼を得るためには、仕事の丁寧さ・確実さはもちろん、接客やマナーなどの基本も心得ていなければいけません。地域に密着したサービス事業者であれば、リピートの依頼でも同じスタッフが対応でき、利用者との信頼関係も築きやすいでしょう。
このように、家庭を取り巻く社会構造の変化とともに、訪問型サービスのあり方やニーズも年々多様化しています。
今後、少子高齢化や核家族化・単身化がさらに進行していくなかで、保険外の訪問型サービスの必要性・重要性はますます高まり、地域に根差した生活支援サービス事業として、事業者に求められる役割や市場も確実に広がっていくでしょう。
―― なお、そうした中でベンリーは全国各地に店舗をチェーン展開し、地域に密着した保険外の訪問型・生活支援サービスを通して、たくさんのお客さまの「困った」にお応えしています。
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